【やる気スイッチ】という言葉を聞いたことはあると思います。
・何か新しいことを始める。
・物事を継続しなければならない
ときに、
「誰か私の【やる気スイッチ】を押してくれないかなー」
と思ったことありませんか?
そもそも【やる気スイッチ】はどこにあって、どうやって押すのでしょうか?
この記事では【やる気スイッチ】正体とその押し方について考えていきたいと思います。
やる気スイッチはどこにある?
結論から言いますと、やる気スイッチは「脳」の中にあります。
脳の奥の方に線条体という部分があります。【やる気】の中核はこの線条体にあり、この部分が活性化されている状態を【やる気スイッチが入っている状態】といえます。
線条体は、運動の開始、持続、コントロールを司っています。
また線条体は快感や見返りと深くかかわる側坐核も含んでいる為、線条体で【行動】と【快感】が結びつけらえていると考えられています。
現実での行動に対して、
【この行動をやり切るとこんな快感を得られる】
という行動と結果を結び付けておくことで、線条体が活性化され、やる気スイッチが入るということです。
そもそもやる気の正体とは?
心理学的には【やる気】【動機づけ】と言われます。
この動機づけを行うことが、【やる気スイッチがONになっている】状態ということです。
この動機づけは
・外発的動機づけ
・内発的動機づけ
の2つに分類されます。
外発的動機づけ とは?
【外発的動機づけ】とは、
報酬や評価、罰則や懲罰といった「外部からの働きかけによる動機付け」です。 外発的動機づけのメリットとしては、実施方法が「報酬を与える」「罰を与える」などシンプルで分かりやすいため、強い関心や興味がない人のモチベーション向上には有効に働きます。
内発的動機づけ とは?
【内発的動機づけ】とは、
内的で本質的な欲求によって引き起こされる行動のことです。言い換えると、個人の行動の要因となる、内面から湧き上がる動機づけ (モチベーション) のことです。この場合、モチベーションは、報酬や称賛など、外部からの誘因に関係なく、自分自身からのみ発生しています。
といったように2つの動機づけがあると人はやる気スイッチが押されますが、2つの動機づけについては、その発動条件が外内真逆にあります。
【外発的動機付け】は一時的な効果はあっても長続きしないという特徴があります。また達成時に「燃え尽き症候群」に発展する可能性もあります。
逆に【内発的動機付け】は内側から湧き上がる欲求を根源に持つため、継続力や行動力が大きなものになります。
シンプルにまとめると「~しなければならない」が外発的で、「~したい」というのが内発です。
つまり、やる気スイッチを押すためには【内発的動機づけ】を行う必要があります。
内発的動機づけが生まれる心理
【内発的動機づけ】を生み出すものは、
が上げられます。この心理がくすぐられると、【内発的動機づけ】に繋がっていきやすいです。
【内発的動機づけ】のメリット
長期的に維持できる
内発的動機づけは、個々人の内側から発生するものであるので、長期的に動機を維持できるというメリットがあります。外発的動機付けは金銭的・精神的な報酬を与えるのを辞めたり、あるいは昇給率などを低く設定したりすると、報酬に依存していたモチベーションは止まってしまいますが、
内発的動機づけの場合、目的や自己決定感、自己効力感が保たれている限り、外部から報酬を与えなくても、長期的にモチベーションが維持しやすいと言えます。
限界がない
内発的動機付けには限界点がありません。
どうしても報酬額などに際限が生じてしまう外発的動機付けに対し、内発的動機付けはどこまでも自分自身の内面を昇華・啓蒙できます。
「報酬は自分自身の成長や学び」という状態を作れる内発的動機づけは、報酬など外的なものに依存することなく、自身の内面からモチベーションが湧き出てくる状態です。
そうした内的な欲求や意志には限界がなく、会社や上司が何かを与えなくても、自己推進的に仕事に取り組んでくれることになります。
コストは基本かからない
内発的動機づけには、基本コストはかかりません。
外発的動機付けには報酬や賞与といったインセンティブが必要だが、内発的動機付けは個人の内面に起因する動機であるため、コストがかからない大きなメリットがあります。
【内発的動機づけ】のデメリット
外部からのコントロールが難しい
【内発的動機づけ】は外部からのコントロールが難しいです。
外発的動機付けは報酬や昇格など、わかりやすく外から働く動機を与えることができるが、内発的動機付けは直接的な操作ができません。
即効性はない
【内発的動機づけ】は長期的に育まれることがほとんどである概念であるため、即効性は低くなります。
外発的動機付けの場合は、インセンティブやキャンペーンとして短期的にモチベーションを生み出すことが可能ですが、動機の根拠を内側に求めている内発的動機付けではそうした操作が非常に難しいです。
標準化が難しい
最後に、内発的動機付けは標準化が難しいという点もある。
内発的な動機は個人の内側から湧き出るものであり、個々人の価値観や特性に大きく左右されるものです。そのため、内発的動機づけに成功した事例や考え方を、そのまま他人にに流用することは基本的にはできません。制度化、仕組み化という観点から見ると、標準化が非常に難しいです。
人の興味や関心がそれぞれである以上、内達的動機づけの引き金になるものは個人で違います。その個人の差を見極めて促してあげることが必要になります。
自分のやる気スイッチを押す方法
ではここでやっと、やる気スイッチを押す具体的な方法について触れていきたいと思います。
まずは形から
「形から入って心に至る」
という言葉を聞いたことがありますか?
読んで字のごとく、
意味や意義が分からなくても、まずはやってみよう。(形から入る)
やっているうちに、その意味や意義が分かってきますよ!(心に至る)
ということです。日本の”道”のつく習い事などでは非常に重要視されている考え方です。何もわからない状態の人は、挨拶や作法を学ぶことから始め最終的にはその”道”を究める人が出てきます。
もっと身近な例では、ランニングを始めるにあたって、シューズやウェアを新調し自分でモチベーションを上げようとしたことがある人はいませんか?まさにそれです。
難しく考えずに、「とりあえずやってみる」という感覚で良いです。何よりスタートを切ることが一番重要です。スタートしないと何も始まりませんからね!
ツァイガルニック効果を使う
「ツァイガルニク効果」とは、
終えてしまった事柄よりも、途中で挫折してしまったり中断してしまったりした事柄のほうがよく記憶に残る心理現象のこと。
この効果を利用して、敢えて中途半端なところで、一旦やめてみるのです。違うことをやってもいいですし、休憩をとるのでもいいです。
全て完了せずに休憩に入ったりすると、やり残したことが強く印象に残り、「スッキリしない」「モヤモヤする」という感覚になります。
この感覚を意図的に誘発することで、続きに対するモチベーションを上げることが出来ます。
環境を変える
良い意味でも、悪い意味でも、人は周りの環境に大きく影響されます。
やる気の起きない環境で頑張ることは諦めて、自然とやる気が湧く場所を見つけましょう。
カフェや図書館で仕事をしてみたりといろいろ試してみるべきです。
その経験をもって、いつものデスクに座るとまた違った感覚が生まれるかもしれません。
相手のやる気スイッチを押す方法
期待している事を伝える。
人のやる気の根源の内、他人から与えられるもので最も大きなものは「期待」です。
子どもにお手伝いを頼みたいときです。「〜しなさい」と指示するのは逆効果です。指示されて、「自由に行動できる権利を制限された」と感じると、反発心を覚えて意欲を失うことがあります。
自分には自由があることを確認するために、自分の意見に固執したくなるからです。この状態を「心理的リアクタンス」といいます。
指示するのではなく、期待していることを伝えましょう。例えば、「食器洗いが得意そうだから、お願いしてもいい?」と期待していることを伝えます。子どもはその期待に応えようと、家事にやる気を出してくれるはずです。
小さな成功体験をさせる
人は何かにチャレンジして成功した時に、ドーパミンという快楽物質が放出され、心が「快」の状態になります。
小さな成功でドーパミンが放出され快感を得ると、脳はそれを学習し、再び同じ行為をしたくなります。
チャレンジして成功して得た快感が忘れられず、また成功に向けチャレンジしたくなるのです。
そのため、小さな成功体験でもよいので、「チャレンジして成功すると気持ちがいい」とおいう感覚をたくさん体験させてあげることが大切です。
褒める
快楽物質のドーパミンは、褒められる事でも放出されることが知られています。
褒められると、よほど悪意的な場合を除き、お世辞でも快感です。それが相手からの本心であるという事が分かると、より快感を得る事が出来ます。
褒める場合は、結果ではなく、プロセスを褒めるように意識してください。
褒め方についての関連記事はこちらです。
まとめ
今回は、【やる気スイッチ】とは何か、そして、自分と相手のやる気スイッチを押す方法について書いていきました。
やる気スイッチの正体は【動機づけ】でその中でも【内発的動機づけ】は強力であることをお伝えしてきました。
勉強、ビジネス、人間関係において、この【やる気スイッチ】というのは大切になってきます。
皆さんの良い人間関係構築の一助になれれば幸いです。