私の愛読書【影響力の武器】について、簡単にまとめてみました。
【影響力の武器】は、チームを率いるリーダー必須の本と言っても過言ではありません。
人を動かす原理原則に触れられており、チームや部下をコントロールする方法が書かれています。
一方でこの原理原則を理解することで、社会生活において、騙されたり、不要な買い物をすることが減ると思われます。
世の中ではこの【影響力の武器】に記された6つの心理が多用され、我々を待ち構えています。
【影響力の武器】の内容を知ることで、自身のチームをスムーズに動かし、人間関係をより円滑なものにし、かつ自分自身も守ることができます。
影響力の武器とは
【影響力の武器】は、米国の社会心理学者であるロバート・B・チャルディーニによって書かれました。
世界中でロングセラーとなっていているため、あなたに対峙する相手は読んで切る可能性が高いです。
相手は理解していて、あなたが理解をしていないと、交渉や関係は相手方にとても有利なものになります。難しい内容ではなく、日常にシンプルに潜む内容となっていますので、簡単にでも理解することをお勧めします。
内容としては大きく6つに区分されています。
- 返報性
- コミットメントと一貫性
- 社会的証明
- 好意
- 権威性
- 希少性
上記6つです。この内容を知らないと、私たちは無意識のうちに、この心理に従って動きます。
影響力の武器の内容を知ることで、人の心理を理解し、経営やビジネスなどさまざまな場面で活かすことが出来ます。
自動行動パターン
人の行動の源となるものは何なのだろ言うか?
本書では人の行動は「自動行動パターン」によって決定されるものとされています。
「自動行動パターン」とは人の行動の引き金になる動機のことで、本の中ではひな鳥が「ピーピー」となくことで、親鳥の子育て本能が刺激され、えさを与えたり世話をしたりするそうです。逆にひな鳥が鳴き声を上げなければ、親鳥はえさや世話をすることなく無視するようです。
親鳥の行動の引き金は、ひな鳥の「ピーピー」という鳴き声であり、それが聞こえると自動的に行動し、なければ行動はしないと本能的に決まっています。
人間も同じで、行動の引き金のなる【何か】あれば、本能のまま自動的に行動をしてしまい、さらにこの行動には抗えないのです。
こういった一連の流れになる要因としては、周囲で起こるすべての物事に対して、時間をかけて熟考し、完全に納得してから結論を出そうとすることは、脳の疲労、処理速度の低下など、非常に生産性の悪い事であることが、本能に分かっているからです。よって引き金があれば自動的に行動する方が効率的であると本能で思ってしまうのです。
ここからは、人を【自動行動パターン】に当てはめる6つの引き金について解説していきます。
返報性
私たち人間にとって最も重要で、基本的な社会のルールの1つとなっているのが、「返報性」です。
返報性とは、他者から何かを与えられたら、自分も同じように相手に返そうとする原理のことをいいます。誕生日プレゼントをもらったら、相手の誕生日のときにはプレゼントを渡さなきゃと思います。その時には【返報性の原理】が働いているからです。
【返報性】は非常に強い力を持っており、与えられっぱなしという状況になると、人は逆に不快感すら抱きます。そして、その不快感から解放されたいがために、時として相手へのお返しとして、もらったもの以上のものを返ししたくなるのです。
デパートの食品売り場での試食などはわかりやすい例で、試食をさせてもらったら、購入には至らないまでも、そのまま立ち去るのは悪い気がし話だけでもっかないといけないと思い、立ち止まった経験はないでしょうか?そしてそのまま、購買行動に至らせることもあるのです。
「無料と言われた試食で、その商品購買をする。」のは返しすぎですが、とくに嫌な気持ちにはなりませんよね。
相手に何か要求をしたいときは、まずは自分から小さな要求を聞き入れることが大切です。
一貫性
私たちは、自分の言葉、考え方、行動を一貫したものにしたいと思う生き物です。
なぜなら、一貫性は社会から信用されるために必要なことだからです。そして何かを貫き通ることは素晴らし事であると思い込んでいるからです。
一貫性は「行動をともなう」「苦労をともなう」「決定をともなう」を強化されてしまいます。
・最初に宣言ことがやめられない。
・ここまで来たら引き返せない。
・決定事項は条件変更があっても覆しにくい。
一貫性の原理の使い方としては、「こちらから強制せずに、相手の自由意思で意思決定させる。そしてそこから供給をエスカレートさせていく」というパターンです。
この手順を守って交渉を進めると、自分の意見が通りやすくなります。
自分が受けて側である場合は、自分がこの型にはめられていないか、客観性と俯瞰的視点をもって見ていく必要があります。
社会的証明
【社会的証明】とは、何が正しいかを判断するとき、自分で考えるのではなく、他人が何を正しいと考えているかを基準に判断する傾向のことです。
さして考えもせず、信号刺激(他者の行動)につられて行動することは、日常的に起きています。行列にわざわざ並びたくなったり、災害時の買い占めや、商品の口コミ、評価などをもとに自分の行動を決めてしまうのには、この心理が働いているからです。
「人気があるものは良いものだ」と自動的に感じてしまうのです。
とくに自分に似た境遇の人の評価は、判断に大きな影響を与えます。
例えば、口コミ評価などはわかりやすく、どこのだれが書いたかわからないものが、販売元の大企業のメッセージよりも大きな効果を発揮し、行動してしまうのは、自分と同じ「顧客」という境遇の人のメッセージだからです。
好意
【好意】非常にシンプルで、「好きな人の要求は断れない」ということです。
特に、身体的に魅力がある人や、自分と似ている人からの要求には、考えずに承諾する傾向が高まります。
著者によれば、私たちが製品を購入するとき、製品そのもに対する好感度よりも、販売員との関係性の方が決め手になることが、数々の研究結果から明らかになっているそうです。
日常生活において、店員さんと話しているうちに仲良くなってしまい、買う予定のなかった商品を衝動買いしてしまった経験は誰しもあると思います。
好意を使って要求を通す方法としては、
・好意を持たせてから要求する。
・あなたに好意を抱いている人に要求する。
があります。
あなたが受けての場合は「惚れた弱み」ではないですが、この要求は正当なものかどうか冷静に判断する必要があります。必ず、身近な人からの要求にはバイアスがかかっています。
脳は複雑処理も行えますが、その処理能力を軽減するためにシンプルな反応を返すことがあります。好きなタレントさんがCMしているシャンプーを買いたくなるのは、合理的ではありませんが、抗えない本能なのです。
権威
人は常に、権威のある人物に従ってきました。それが社会のルールであり、それによって社会的秩序が保たれてきたからです。
大抵の場合、権威者の言うことに従っておけば安全は確保されることから、人は本能的に服従するようになっています。
相手の・肩書き・服装・装飾品によって、人の行動に影響を与えることが解明されています。
初対面の相手が、どんな人なのか判断することは容易ではありません。そこで肩書きや服装、身に付けているもので、私たちは手っ取り早く信用できる相手かどうかを見極めているのです。著者によれば、装飾品の中でも特に車は人に与える影響力が大きいそうです。
詐欺グループの犯人たちが警察官の制服を着るのは、まさにこの原理を利用しているからだと言えます。逆に言えば、私たちは服装や装飾品に気を配ることで、相手の信用を得ることができるのです。
希少性
この原理は、思い当たる方も多いと思います。「数量限定」「期間限定」「最終セール」といったワードは、まさに「希少性」を利用した販売戦略です。
「今買わないと二度と手に入らなくなる」
のように。人は機会を失いそうだと思うと、その機会をより価値のあるものだと見なしてしまいます。
希少性には3つの種類があります。
- 【数量】の希少性
- 【時間】の希少性
- 【場所】の希少性
です。
・販売数を絞り、品切れ状態を作る【数量の希少性】
・タイムセールや、期間限定販売などの【時間の希少性】
・地域限定、限定会場、限定販路など【場所の希少性】
「希少性」の圧力に抗うのは簡単ではありません。しかしこの原理が働いている状況に気づいたら、一種の興奮状態に陥っていることを認識し、本当に手に入れたいものなのかを冷静に、焦らず考えるように努めることが大切です。それだけで、衝動的に行動して後悔することを減らせるはずです。
まとめ
この本には「提案について合理的に考える暇を相手に与えず、機械的反応を引き出す方法」すなわち「影響力の武器」が示されています。
基本的な「影響力の武器」とは、ターゲットとなる相手に自動的に「イエス」と言わせるため、説得術の熟達者が用いる戦術であり、抗うことは非常に困難です。
世の中はある意味たくさんのダマシが隠されています。それは販売者側の工夫であり、否定することはできません。自分も知らず知らずのうちに使っている事もあります。
だからこそ、本書を理解し、今自分が置かれている立場が、上記6つの行動パターンに当てはまっていないか、常に俯瞰する必要があります。
あなたの影響力が磨かれ良い人生になる、その一助になれれば幸いです。