
ニュース等では、我々40代は年金をあまりあてにはできないと言われています。
政府としては「年金の仕組み自体は破綻しえない仕組みである。」と言っていますが、日本の年金は、現役世代が高齢者を支える「寡婦方式」と加入者が支払ったものを将支給する「積立方式」の併用をバランスを保ちながら制度を維持しています。
もう一つ、「マクロ経済スライド」というものがあります。簡単に言うと社会情勢に応じて給付水準を自動調整することです。
小難しく説明されても、現実問題として、現在は受給時期を遅らせたり、受給額を減額したりすることで、一定金額を受け取ることが出来るという意味で破綻はないと言っているだけで、我々が収めた金額と釣り合うかどうかはまた別の話です。
ここでは、年金について基本的な話をします。
意外と自分自身がどんな年金に入っているかを、特にサラリーマンの人は知らず知らずに払っている人も少なくないはずです。
【実はよくわかっていない】公的年金の種類は?
年金は大きく分けて
①国民年金
②厚生年金
の2つに分類されます。
①の国民年金は基礎年金ともいわれ、日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人すべてが加入する年金です。
②の厚生年金は、会社などに勤務している人が加入している年金です。
よく「年金は2階建て」と言われます。基礎年金である国民年金を1階、厚生年金を2階と見合ってています。
そこから3階部分にあたるのが、企業年金、国民年金基金、個人年金などです。
その年金については小難しいことは省きますが、日本国民全員が、国民年金(基礎年金)に加入しており、会社員は厚生年金にも加入している。とだけ覚えておいてください。
【意外と知らない】公的年金は毎月いくら払う?
一言で書くと
①国民年金は・・・1ヶ月当たり16,980円(令和6年度)
②厚生年金は・・・標準報酬月額(賞与額)×保険料率(18.3%)
ということになります。
ここで言う、標準報酬月額とは、「その年の4月~6月の3か月間の給料の合計÷3」で計算されます。例として4月30万円、5月32万円、6がつ28万円の人の標準報酬月額は、
(30万+32万+28万)÷3か月=30万
ということになります。そして保険料率は現在一律18.3%のため、標準報酬月額に18.3%をかけた金額が厚生年金保険料となります。
同じく標準報酬月額が30万円の場合は、
30万×18.3%=54,900円
が厚生年金保険料です。
そして、厚生年金は労使折半となっていますので、上記で決まった保険料の半分は事業主が負担してくれ、残りの半分を被保険者が支払うという構図です。
よって、我々が払う保険料は、
54,900円÷2=27,450円
となります。
となると、毎月の保険料は、国民年金と厚生年金を合わせて
16,980円+27,450円=44,430円
となります。
改めて見ると、毎月結構な金額を払っていることが分かります。
【知りたいのはここ】じゃあ我々はいくらもらえるの?
そこで気になるのは、「我々が定年になった時にいくらもらえるのか?」という話です。
老齢年金は保険料と納付月数によって決まるため、ここではザックリとだけ示しますが、
①国民年金平均受給額…約56,000円/月
②厚生年金平均受給額…約144,000円/月
合計約20万円/月となります。
あくまで上記は目安であり、収入によって決まるため収入が高いほど受給額も大きくなります。よって男女差も生まれ、平均受給額は男性の方が多くなっています。
しかもこれは現在の試算であり、我々が引退した時(ここでマクロ経済スライド)にはこの金額が担保されるわけではありません。実際毎年の受給額平均はじんわり下降傾向であります…
今までは老齢年金の話をしましたが、受け取れる年金には他のものもあります。

【老後だけじゃない】受け取れる年金の種類は?
我々、年金保険料を納めている、日本国民が受け取れる年金の種類は
上記の「老齢年金」に加え「障害年金」「遺族年金」があります。
老齢年金
私たちが受け取る年金の基本は、この「老齢年金」と考えてよいと思います。
老齢年金は基本的には65歳から受け取ることが出来ます。
受け取れる年齢になる3か月前に、基礎年金番号、氏名、生年月日、性別、住所及び年金加入記録が印字された裁定請求書が年金事務所から送付されてきますので、漏れがないかをチェックし。年金請求書を提出すれば受け取り出来ます。
受け取り方は、原則、偶数月の15日に指定の口座への振り込みという形で行われます。日曜、祝日のときは、その直前の平日となります。
また、老齢年金には、繰り上げ受給、繰り下げ受給とおう仕組みもあります。
ここではシンプルに、
【早く(繰り上げ)もらえば受給額は減り、遅く(繰り下げ)もらえば受給額が増える】
とだけ知っておいてください。繰り上げ、繰り下げについては、どちらにもメリットデメリットが存在します。ご自身のライフスタイルに合った受給方法で選択してください。
細かい上下率やメリットデメリットについては、調べればシミュレーションできるサイトがたくさんありますので、気になる方はご自身で調べてみて下さい。
障害年金
続いて「障害年金」についてです。こちらの年金も、国民年金、厚生年金を支払うことによって受け取れる年金です。
障害年金とは、病気やケガによって、日常生活が制限されたり、仕事が出来なくなってしまった場合に、受給することができる年金です。老齢年金と現役世代でも受け取れる年金です。
この障害年金は、生まれつきの障害ではなく、事故や病気で障害を負った人にも受給されるのが特徴です。さらに働いていても受給することが出来ます。
そしてほぼすべてのケガや病気で受給できます。
精神疾患(うつ、統合失調症)、外的疾患(手足の障害、目)、内的疾患(がん)、脳血管疾患、人工透析、糖尿病の合併症)などについて、認定は障害年金センターの担当医が認定し、日本年金機構が最終決定をする流れです。
そして障害年金は非課税です。
老齢年金は雑所得として課税対象です。
※65歳未満でその年の支払額が108万円以上、65歳以上で158万円以上の場合は、原則として所得税がかかります。
まずは近くの年金事務所などの窓口に障害年金の申請について相談してみて下さい。
遺族年金
遺族年金とはその名の通り、亡くなった方の遺族に支払われる年金です。
亡くなった方によって生計を維持されていた配偶者、子供などの遺族に支給されます。
遺族年金には国民年金、厚生年金の両方から支払われます。遺族年金も非課税となります。
国民年金、厚生年金の両方から支払われると言いましたが、国民年金の部分では、配偶者のみの場合は支払いがなく、その場合厚生年金部分で支払われる形になります。
例として、
①配偶者のみの場合(標準報酬額30万)・・・約37万円
②配偶者+お子さん2人の場合・・・約130万円/年
上記はあくまで目安であり、ここではザックリと知っておくだけでも良いと思います。被保険者の給料、子供年齢・人数、配偶者の年齢、等々条件によって前後するため、細かく知りたい人はご自身で調べて欲しいです。
老齢年金 障害年金 遺族年金 同時にもらえるの?
年金には国民年金と厚生年金の2つがあり、それぞれに、老齢年金、障害年金、遺族年金の合計6種類の年金があります。
ここではそれぞれの年金の併給について説明します。
端的に言いますと、①~③の年金を受給中に、併給出来る年金は下記のとおりです。
①老齢基礎年金受給中…老齢厚生年金、遺族厚生年金
②障害基礎年金受給中…老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金
③遺族基礎年金受給中…遺族厚生年金
65歳以上の障害基礎年金の受給権者が、老齢厚生年金または遺族厚生年金の受給権者で ある場合には、老齢厚生年金または遺族厚生年金を障害基礎年金と併せて受給できます。
遺族厚生年金の受給権者が65歳に達しているときは、遺族基礎年金か自分の老齢基礎年 金のいずれかを選択できます。 いずれか一方を選択して受給することになります。
こんなのは覚えることはできませんので、都度自分の状況に応じて対応する必要があります。
【年金は保険と考える】公的年金は積立預金ではありません。
上記でザックリ自分がどれくらい払って、どれくらい受け取れる、家族に残せるか分かったと思います。
その上で、老齢年金だけで十分な生活が出来る人は正直少ないのではないでしょうか?
年金の考え方として、改めて欲しいことは
「年金=積立預金」ではなく「年金=保険」
と考えを改めて欲しいです。
障害年金や遺族年金の考え方は、障害により働けなくなった時のリスク、遺族年金は配偶者死亡により生計を維持できなくなるリスク、それぞれのリスクヘッジのためのまさに保険としての役割です。
同じく老齢年金も、長生きリスクに対する保険です。
年齢を重ねていくことで、いつか安定的な収入がなくなる、その時のための保険なのです。
年金開始の1940年ごろ・・・平均寿命は60歳前後、受給開始55歳 平均受給5年
2023年実績 ・・・平均寿命は85歳前後、受給開始65歳 平均受給20年
もらう人と期間がこれだけ伸びれば、制度のデザイン自体も変えていかないと思いますが、ここで愚痴っても何も生まれませんので、この制度ありきで、我々は自分と家族のことを考えていきましょう。
年金の受給時期については正解はないですので、自分の収入、年齢、貯蓄、資産、家族構成、生活スタイルを照らし合わせてみて、公的保険のみでで大丈夫か否か、それを補完するための、任意保険、企業年金やiDeCo、資産運用等を見直すべきです。
逆に公的年金(保険)が見えたことで、無駄な任意保険がないかどうかも見直す必要があります。
そして最後に、自分と大切な人のための保険として、現在の日本を作り、支えてくれた先輩たちに我々のお金が有意義に使われていると信じて年金はきっちり納めましょう。